初めて自分がスマイルサービスの契約書を見せてもらったのは2008年の3月ころでした。

そして、その内容に衝撃をうけました。見せていただいた方は実際に鍵を交換されていて、契約書の文言が言葉だけの脅しではなく、実際に行われているということにさらに衝撃を受けました。こんなことが本当にあるのかと、当初信じられないほどでした。

特に、契約書とは別の承諾書の内容はすさまじいものです。

その承諾書の内容は次のようなものです(平成20年5月のもの :PDFで見れます)。

 ・家賃の入金が遅れた場合には「会員資格喪失」となること
・その場合にスマイルサービスが管理確認を行うので「鍵利用所内の生存確認出張料」として金10500円を支払うこと
・ゴミ出し状況が悪ければ「会員資格喪失となる場合」があるとしていること
・「会員資格喪失後、当社に連絡なき場合、施設内の残置物については、施設付鍵利用者の承諾を得ずに当社が任意に処分出来る」としていること
・スマイルサービスと「会員との間に紛争が発生した場合、会員はその解決方法として訴訟手続きを利用しないこと」

まさに驚愕の内容です。

解決方法として訴訟を利用しないことなど論外で、そんなことを決められる筋合いはありません。このような条項は消費者に一方的な不利益となる条項を無効とする消費者契約法10条で無効になります。
あと、「鍵利用所内の生存確認出張料」というふざけた文言での違約金も上限を定めた消費者契約法9条2号に違反します。
当然ながら、一日でも入金が遅れたら出ていかねばならないというのも借地借家法に反します。

確かに、契約書の文言では、「1日でも家賃が滞納した場合には、警告なしに契約が解除される」といった内容が含まれることはしばしばありますが、その文言を文言通りに実行されることはありません。なぜなら、借地借家法で借家人は保護されており、そういった条項は無効になるからです。これは判例でも確定しています。なので、契約書にそういった文言があったとしてもあくまで借主に支払い義務を求めるといった意味合いでしかなく、実効性はないのです。

しかし、実際に、スマイルはこの条項をその通りに履行していました。そこが、スマイルサービスの特異性であり、他の業者とは大きく異なる点です。そして、これはほぼ例外なく実行されていたのだから、被害は甚大です。

その後、HPなどを通じて入居者の方々からいろいろな情報提供を受けました。

すると、時期によって契約書が異なっていることが分かりました。それも短いスパンに頻繁に微妙に文言を変えています。契約を変えるということは、何らかの意図があるからであり、さらには相手がこれまでの契約の不備を認めたことに他なりません。これまでの契約がまずかったから変更したのであって、十全の契約でなんの問題もないのなら変更する必要はまったくないからです。

よって、契約書を継続的に見ることは非常に重要で、相手の見解を知ることができるし、情勢分析にもつながり今後の出方も読むことができるのです。

・これまでの契約書の変遷

これまでの契約書を項目ごとの変遷を表にしてまとめてみます。
それぞれの契約書は年月をクリックするとPDFでも確認できます。

スマイルサービス契約書の変遷
  平成18年11月 平成19年5月 平成19年10月 平成20年1月 平成20年5月 平成20年8月 平成20年8月8日以降
契約書の呼び方 施設付鍵利用契約書 施設付鍵利用契約書 施設付鍵利用契約書 鍵利用登録契約書 一時使用契約書(鍵利用) 一時使用契約書(賃貸借契約) 定期借家契約書
違約金の金額 施設利用料の10% 施設利用料の10%
再利用料(違約金)の名目 会員資格復権 会員資格復権 新規会員資格取得の契約手数料 登録所の確認出張料 鍵利用所内の生存確認出張料 鍵利用所内の生存確認出張料
再利用料(違約金) 15750円 15750円 21000円 21000円 10500円 10500円
契約者の呼び方 鍵利用登録会員名 一時使用会員名 一時使用会員名 借主
賃貸住宅保障の契約書 あり あり あり なし なし なし なし
再契約諸経費 40000円(火災保険料20000円、賃貸住宅保障料20000円) 60000円(火災保険料10000円、賃貸住宅保障30000円、清掃管理費20000円?) 30000円(火災保険料10000円、賃貸住宅保障料20000円) 30000円(内訳なし) 30000円(内訳なし) 30000円(管理費20000円、家財保険料10000円) 30000円(管理費19300円、火災保険料10700円)

・スマイルの特徴的システム 施設付鍵利用契約

スマイルの契約の特徴としては、借家人を『会員』と呼び、賃料のことを『月額利用料金』と言い換え、契約書の名称で『一時使用』や『鍵利用』を強調し、賃貸契約のことを『施設付鍵利用契約』や『一時使用契約書(鍵利用)』としていたことです。
初めて読む方は聞きなれない言い方で、なんじゃこりゃ、と思うかもしれませんが、これらは彼ら独自の論理に基づいています。つまり、ホテルのように一時的に宿泊する施設であるから、施設に付いている鍵を貸す契約であるとして、借家人を保護することを目的とした借地借家法の適用を免れるため賃貸借契約ではないとしていたのです。

たとえば、平成20年5月の「一時使用契約書(鍵利用)」 では「契約約款」の第1条(1)に「会員はサービス利用にあたり、登録する鍵を一時使用権として使用することを目的とし、会員のみが利用できる。」とし、第1条(2)に「本契約は、賃貸借ではありませんので居住権、営業権については認められない。」としています。

スマイルサービスが、賃料の振り込みが一日でも遅れたら鍵を交換したり、入居者の承諾なく勝手に部屋に入ることができるとしていた根拠もここにあります。居住権がなく「登録する鍵を一時使用権として使用する」権利、つまり、施設の利用権だけなのだから、借地借家法は適用されず、即時契約は解除でき、部屋にも立ち入ることができるという論理です。言いかえれば、スポーツ施設のような権利のある不特定多数の人間が立ち入ることのできる「施設付鍵利用契約」であり、排他的独占的な権利のある賃貸借契約ではないのだから、無断立入ができるのだという主張です。

ここで争点となるのが、「居住権」と「施設利用権」とは何かということです。

法的には「居住権」という規定はなく、実質的な部屋の「占有権」として考えられます。占有権とは、民法180条で規定され、排他的に自分だけが物を所持することです。

民法 占有権の取得
第180条 占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。

一方、施設利用権とは、会員料を払って会員権をもっている人間が、たとえば、ホテルやスポーツクラブなど他の人間も出入りできる場所を利用できる権利となります。

つまり、居住スペースというのは当然のことながら、排他的な占有権が認められるものであって、そこに、ホテルやスポーツクラブでいわれる施設利用権という概念をもってきても、到底なじまないことは明らかです。スマイルで入居している部屋はホテルではありません。ホテルであれば、旅館業法が適用されるでしょうが、スマイルもまさか自分の業務が旅館業だと主張するわけではないでしょう。確かに、料金を払った会員が部屋を借りるという形態だけをみれば、ホテルと近いものがあるのかもしれませんが、管理する人間が常に建物にいるわけでもなく、物件の外観からそれとわかるものもありません。
なにより、ちゃんと居住の実態が入居した部屋にあるのは明らかなのだから、そこをホテルだとか一時的な施設利用だとかいうのは、一般的にも法的にも到底通用する論理ではないのです。

それから、実際に住んでいる入居者の居住実態に照らして、この契約がふさわしいかどうかという点も重要です。

民法601条では次のように賃貸借を定めています。

第601条 
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

入居者の実態として、スマイルに賃料を支払うことで入居者が部屋を使用することを約束させているというのは、誰がどうみても明らかです。契約条項でいくら賃貸借ではないとしていたとしても、部屋の使用を料金をとって約束させているわけだから実質的には賃貸借契約であることは覆しようがありません。

実際のところ、スマイルは2008年8月現在、さすがにこのような主張をすることはあきらめ、裁判上で当時の契約であっても賃貸借契約であることを認めています。

長いので次のページに分けます(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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